トップページ> 文化団体リレーレポート
文化団体リレーレポート
バックナンバー一覧
NPOぬまくま民家を大切にする会

掲載日:2015年3月1日
 私たち、NPOぬまくま民家を大切にする会は、平成8年(1996年)に活動を開始しました。同年、日本民俗建築学会が、沼隈町内の横倉地区(平家谷)を中心に古民家の調査を実施、これに同行し協力していくうちに、地域の民家の素晴らしさ、保存継承活動の大切さに目覚め、倉田久士元沼隈町長を中心に有志が集まり、「沼隈民家を大切にする会」を結成しました。
 その後、沼隈町の民家の形態は横倉地区だけでなく広く旧沼隈郡一帯に共通するものとして活動地域を広げ、継続的な活動を進めるために、平成17年(2005年)に「NPOぬまくま民家を大切にする会」と名称を変えて新たなスタートを切りました。

 平成23年からは、古民家再生に欠かせない伝統自然塗料である「柿渋」の製造販売に、地域に唯一残っていた機械を製造元より譲り受けて、試行錯誤しながら取り組んでいます。
 かつて備後の柿渋は、「備後渋(びんごしぶ)」と呼ばれ、その品質の良さで日本三大名産地の一つに数えられていました。柿渋は、防水防腐防虫効果があり、自然塗料や染料として、日本では広く生活の中で使われており、番傘や渋団扇、一閑張り(※)など、見事な実用の美をもつ生活用具を多く生み出していました。
 古民家と、柿渋に象徴される自然とともにある暮らしや、昔ながらの先祖の知恵を後世に引き継ぎ、地域に残る貴重な伝統文化を守り伝えていきたいという願いから活動しています。

 古民家の再生支援では、古民家所有の方に、再生民家の見学案内や施工業者の紹介を行い、過去約20年の活動で、現在30数棟の再生にたずさわりました。会員が日頃から、古い家に悩まれている方に声をかけている成果かと思います。「壊さないで、直そうや。古民家は磨けば光る地域の宝物。200年先の子孫へ、愛情込めてプレゼントしようや。」「同じお金かけるなら、直すほうが絶対ええで。」「もし30年間空き家でぼろぼろでも、見事に直るし、快適に住めるんで。一度見学にいらっしゃい。」

 古民家の活用では、会員所有の築約150年の古民家で、コンサートや小学生親子を対象に「田舎暮らし体験」を実施しています。田舎暮らし体験では、里山や田んぼ、小川を前に、都会のお子さんも元気に走り回り、親御さんも日本の原風景に癒されると毎回喜んでいただいています。
 研修会として、年に1〜2回、各地の古民家や歴史ある町並みを訪ねる日帰りバス旅行も開催するほか、一閑張り、柿渋染めの体験教室も開催しています。
 ご興味のある方は是非お気軽にお問い合わせください。

※一閑張り・・・竹で編んだ笊や籠などに和紙を張り、柿渋を重ね塗りしたもの。
■お問い合わせ先■
NPOぬまくま民家を大切にする会事務局 
TEL 084-987-0840

田舎暮らし体験の参加者、スタッフ


一閑張りと柿渋


築150年再生民家でのコンサート