備陽史探訪の会主催特別歴史講演会「備後中継表の技術史」
近世以来、最高級畳の代名詞となった備後表は、現在でも国宝修復の際や宮内庁管轄の建築に指定されます。しかし、備後地域では有志の農家数戸による極小状態で栽培されるのみとなり、「備後表」として流通する畳の多くは他県産藺草が原料です。
現在、話者の主宰する備後地域遺産研究会が主体となり、「備後藺草による備後表」の保全と継承のため、地元農家と協働で藺草を栽培しています。また、中継織という備後地域発祥の伝統技法に関しても、希少となった手織機の修復・復元や最新動力織機による技術継承を試みています。露地における藺草栽培という、建築学では少々挑戦的な方法を提示して始めた研究の一端を、2016年7月の刈り取り体験から1年半にわたる実践活動を含めて紹介します。
【講師】佐藤圭一氏(福山大学建築学科教授) |